masaka
高橋秀実「おやじはニーチェ」を読んだ。「認知症」と診断された父の介護を記録しながら、認知とは、記憶とは、存在とはといったところに立ち返り、言葉の源を調べ、何を持って正常/異常の線を引くのかまで考える。興味深いことにそこでは哲学が役に立ち、以前は馴染めなかったのに「あの難解なヘーゲルまですっと理解」できたという。ニーチェ、サルトルから龍樹までさまざまな哲学書が引用されているが、確かにそれらが「症状」の理解にあてはまるように読める。従来の認知症介護の常識をひっくり返すようなところもありつつ、随時エミちゃんの「それは自己満足」などリアルな切り込みによる異なる視点もなるほどというところで、いろいろ考えることの多かった一冊
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