masaka
神野藤昭夫「よみがえる与謝野晶子の源氏物語」を読んだ。晶子の源氏は広く知られている訳(新新訳)の他に超訳に近い新訳や出版されずに原稿が震災で燃えてしまった注釈(講義)もあるとは知らなかった。訳に着手する発端から周囲の環境や晶子が読んできた源氏テキストを調べたり手書き草稿と出版物の相違から執筆の姿を思ったりと幅広い視点で典拠もきちんと示しながら進むが、脱線というより敢えて思考の過程をそのまま投げ出すような(著者の言う「旅」)ドキュメンタリーとでもいうか。パリ滞在が結局どのような影響を与えたかなどよく分からないままの部分もあるがそれも含めて気持ちが伝わってくる力作
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