瀧波 一誠 | 地理と珈琲を愛する人 (@mokosamurai777) on X

群青製作

青金岩

ラピスラズリを原料として作られる顔料、「ウルトラマリン」。
ラピスラズリは、古代には金に匹敵する価値があり、大半はアフガニスタンで産出された、人類が利用した最古の鉱物の一つ。
オランダの画家、フェルメールが使ったことでも有名です。

実は「ウルトラマリン」というのは「凄い青」ではなく、ラテン語の「ultramarinus（海の向こう）」という意味。
当時のイタリア（主にヴェネツィア）の貿易商が、アフガニスタンからこの顔料を輸入していたことからこの名がついています。
ルネサンス期の画家たちにとっては垂涎の超高級顔料でした。

聖母マリアの衣など、神聖なものを描くときに用いられたのですが、高品質なウルトラマリンは当時でも金と同じ価値を持っていました。
この頃にはラピスラズリそのものの産出量は増え、古代程の希少性はなくなっていたのですが、ウルトラマリンの製造工程が極めて手がかかる（粉砕してふるいにかけ、

蝋や油で溶かし、希灰汁で練るなどの工程を何度も繰り返す）ため。今でも高品質の天然ウルトラマリンの価格は極めて高価です。
1820年代に合成品が開発されたことで「ウルトラマリン」は身近な色となりましたが、今でも天然ウルトラマリンは少量ながら生産されています（左が天然、右が合成）。

ラピスラズリは熱による変成作用を受けた岩石中に見られる鉱物で、日本語では「青金石」とも呼ばれています。
石灰岩が熱変成作用を受けてできたもので、生成される条件が極めて限定されるため産地も限定されています。
およそ6000年前には、現在のアフガニスタン北東部のサリ・サンで最高級の鉱石が