masaka
平野啓一郎「文学は何の役に立つのか?」を読んだ。文学という切り口では大江健三郎、ドナルド・キーン、瀬戸内寂聴、古井由吉との直接の交流から三島由紀夫、森鴎外、安部公房、ハン・ガン、ドストエフスキーまで。さらにゲルハルト・リヒターやヴァロットンの絵画論、「オッペンハイマー」とクリストファー・ノーランと幅広くとり上げた芸術論で、根底にある個人(individual)に対する分人(dividual)概念とか、反自己責任論などが一貫している。短文も多く退屈するかなと危惧したが全くそんなことはなかった。役立つかどうかということとはあまり直結しないが、「セキュリティの共和国」とはまた異なる角度で文学を眺めることができた