RPGA1069
【1.2】
私は車と他人が複雑に交差し、絡み合う場所を抜け出し、やがて人気のない歩道を進む。
均等に立つ蛍光灯が私を見下ろし、地面に光の円を描く。
私はその中心に立ち、
蛍光灯を見上げた。
空には満月が浮かんでいたが、その姿は蛍光灯の光によって完全に影となっていた、
この時代において、最早月の光など一体何の役に立つのだろうか。
我々にとって月とは、時が経つにつれその高さを伸ばしてゆくビルの影に隠れ、人々は夜になれば人工の光に囲まれ、その存在意義自体を問うことさえ掌で行う事ができる存在となってしまった。
時代は"代わり"ゆくものだ。存在は不動なものとしても、その存在意義はいつの時代も移り、やがて別の存在として代わりゆくものなのだ。
私は家路を急ぐため、右足を動かし、光の円を外れた。
少女前線 少女妖怪録
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